考古学に興味があるけれど、大学で実際に何をするのかは分かりにくいと思います。ここでは、三重大学の考古学研究室で何を学び、どう身につけていくのかをご紹介します。
ここで学べること
私たちが向き合っているのは、過去のヒトの歴史です。 モノを手がかりに、それを読み取っていきます。残念?ながら、恐竜は対象にしません(そちらに興味のある方は古生物学に!)。
どうやって読み取るのかはミエないものを見るに書きました。ここでは、あなたがこの研究室で何ができるのかをご紹介します。
対象は、人類の誕生からついさっきまで
考古学は「古い時代を調べる学問」ではありません。人類の誕生から、ついさっきまでが対象です。
石器や土器はもちろんですが、近代の工場も、戦争の跡も、そして今日どこかで捨てられたものも、思い出すのもおぼろげになった数日前の日常もモノを手がかりにヒトを考えるという方法で扱えます。数十分の一秒前も、もう過去です。
つまり、考古学は「時間」で区切られた学問ではなく、ものの見方なのです。この見方は、卒業して考古学から離れたあとも使えます。
テーマは、自分で決めます
考古学では、「専門は○○時代」「○○の研究」というふうに、時代や対象で自分を語ることがよくあります。けれども、対象は目的ではありません。
考古学の目的は、モノをつかってヒトを理解することです。考古学はそのためのひとつの方法であり、知りたいことが変われば、対象も方法も変わります。
ですから、あなたのテーマも、あなたが決めます。 遺物でも、遺構でも、景観でも、技術でも、社会のしくみでも構いません。大事なのは「何を知りたいのか」であって、対象や方法はそのために選ぶものです。指導する側の役割は、その問いを考えたり、解いたりすることのお手伝いをすることです。
先輩たちが実際にどんなテーマを選んだかは、卒業論文・修士論文の題目一覧でご覧いただけます(準備中です)。
所属は3年生から。でも、待たなくていいです
学部の3年生から研究室に所属し、4年生で卒業論文に取り組みます。それまでは学部の授業で歴史や文化を広く学びます。進む道を決める前に視野を広げられるのは、この形のよいところです。
いっぽうで、大学によっては1年生のうちに専攻が決まり、そこから活動を始めるところもあります。早くから関わった分だけ、経験は積み上がります。 そして、2年はあまりに短い。これは正直なところです。
ですから、配属を待つ必要はありません。 大学は決められた授業に出るだけが学びではありません。考古学に興味があるなら、入学したらすぐ活動をのぞきに来てください。活動はメーリングリストで紹介しています。調査の参加でも、資料室の見学でも構いません。広く学びながら、早くから現場に触れる。 両方やれるのがいちばん強いと思っています。そういう人が来てくれるのを楽しみにしています。
もちろん、ちょっと違ったな、と思ったら別の専攻に変更も気にせずに。三重大学には魅力的な研究をされている多くの先生がいます。考古学はフィールドワークを伴います。誰にとっても楽しい、というわけでもありません。
実習 — 手を動かして覚えます
考古学は、実際に身体を動かして実践する学問です。
発掘、実測、整理と記録、遺跡探査、三次元計測。いずれも実際の資料と機材を相手にします。授業と実習はレプリカではなく実物の資料を扱います。
最初はうまくいきません。それが普通です。取り組んでいけば、徐々にできるようになります。常に考えること、続けることが大事です。
なお、資料の実測は文化財専門職の採用試験でそのまま出題されることも多いです。 学びが就職に直結している数少ない例なので、進路と就職にちょっとくわしめに書きました。
地域の現場に関われます
研究室の調査は、大学の中だけで完結しません。自治体と連携した調査を行っており、学生もその現場に立ちます。
2025年度には、鈴鹿市と連携して伊勢国庁の遺跡探査と発掘調査を実施しました。大垣城でも依頼を受けて遺跡探査を行っています。教室で覚えた方法を、実際の遺跡で使う機会があるということです。
現場では、うまくいかないこともそのまま起きます。それも含めて経験になります。
ゼミ — 日本史の研究室と合同で
卒業論文のゼミは、日本史研究室と合同で進めています。
モノからわかることと、文字の記録からわかることは違います。それぞれ長所も短所もあります。考古学だけの視点で閉じないよう、文献史学の立場からも問われる場所に、自分の研究を置いておく。卒業生の方で、両方の視点から地域の歴史を明らかにする業績をあげられている方が多いのは、ここに強みがあるのかなと思っています。
どんな学問領域も方法があります。大学は知識を得るだけでなく、いやそれ以上に、自分が対面する課題に立ち向かう方法を知るための場です。複数の視点を知ることは、その後の人生に活用できる引き出しを増やすことだと思います。
取得できる資格
学芸員の資格を目指せます。必要な科目や履修の要件は改定されることがありますので、人文学部の資格取得のページをご確認ください。
実物の資料を扱う経験が積める環境は、学芸員を目指す方にとって大きな意味を持ちます。この点は学ぶ環境をご覧ください。
もっと知りたい方へ
- 進路と就職 — 文化財の仕事はどれくらい募集があるのか、採用試験で何が問われるのか
- 見えないものを見る — 研究室の考え方と、使っている方法
- 学ぶ環境 — ふだんの場所(4号館)と考古資料室。実物に触れて学べます
- お知らせ — オープンキャンパスなどの案内
進学の相談は、オープンキャンパスの機会にぜひ声をかけてください。また、教員への質問もお待ちしております。
